近況報告(平成22年度、ドイツからの帰国)

 ハレから帰国しました。もうすぐ始まる2010年度の冬学期は、また総合文化研究科にてお世話になります。日本の皆様、またよろしくお願いいたします。なお、今日でちょうど博士課程の標準在籍年限の半数を完了したことになるようです。

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近況報告(平成22年度のハレ大学滞在)

 平成22年度4月より半年間の予定で、ドイツのハレ・ヴィッテンベルク大学に中期留学・研究滞在をしています。以下はTwitterよりの再録です(ご多分にもれずTwitterに移行してからブログから遠ざかりつつありました)。

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 はやいもので、ドイツに入国してから一箇月が過ぎました。現在、ザクセン・アンハルト州のハレという都市におり、マルティン・ルターの名を冠するハレ・ヴィッテンベルク大学に所属しております。ハレは州首都ではないのですが、人口は同州最大だそうです(といっても20万人規模)。実は今回は正式な留学生としてではなく、学振とドイツ研究者協会の共催する「日独共同大学院」というプログラムの構成員である客員研究員、という資格で大学に所属しています。客員というと偉そうですが、要は学生特権が享受できない曖昧な立場で、大学サイトにログインできなかったりします。こちらで何をやっているかというと、せいぜい共同大学院の構成員としてはコロキウムに参加する以外に何らかの義務があるわけではなく、日本にいるときと同じく、指導教官のゼミに出たり、買ったり借りたりした資料を読んだりしつつ、自分の研究をやっております。
 ちなみに資料――私の場合は専門ゆえに既刊の書籍・雑誌しか読みませんが――を蒐集するに際して、ドイツにいることは、やはり利点になります。特にネットで注文する場合は、送料を大して心配する必要がなくなりますからね。纏めて最後に日本に送るのが合理的でしょう。反面、図書館については日本の大学の資料蒐集癖の有難味を実感させてくれる規模であることも、また事実です。これは当地が中規模都市だからという理由だけではなく、かつて在籍していたベルリンの大学もそうだったので、ドイツの大学一般に該当する話であるようです。まず言えるのは、こちらの大学はどうも外国語の書籍(英仏語を含め)を集めることをあまりしないらしい、ということでしょうか。かといってドイツ語の本が豊富かというとそうでもなく、哲学書なら一通り揃ってはいるのですが、貸出可能なのが一冊だけだったりします。日本の大学の学問輸入的傾向を批判する人間は多いわけですが、外国語のものも含めて重要書籍をきちんと蒐集していた、蒐集に予算を配分していたという点は、少なくとも賞賛さるべきことであるように思います。そういえば、『読書術』という本で故加藤周一が、海外の大学に滞在するときに日本語の本が読みたくなったら古典を読め、というのも新刊書は手に入りにくいが古典なら大学図書館に一通りあるからだ、と書いていたのを思い出しまして、さっそく恐る恐る日本学科の図書室に行ったのですが、やはりと言うべきか、三つの棚で構成される(!)そこの図書室には古典の類は置いてありませんでした。岩波の旧体系くらい揃っているかと期待したのですが...。どうも北米の大学での経験知はこちらの国には延長できないらしいですね。とはいえ、図書館事情についてのハレのメリットというのもありまして、それは国立図書館のあるライプツィヒに近いことでしょう。もう一月ほどしてどうしても手に入らないタイトルがいくつか溜まったら、一度こちらに行って複写などをしてこようと思っています。古書店の方も、だいたいこの都市にある店は訪問済みになりました。ヘリングラート版のヘルダーリン全集を割に安価で入手できたのが収穫でした。これ、ネットで注文しようとすると結構高かったもので。大学と研究(?)に関してはこんなところでしょうか。
 ハレという都市について。ここはおそらく――都市史には詳しくないのですが――典型的なドイツ都市なのかもしれません。教会の前に市場があってそこから放射状に旧市街地が広がり、川沿いの外縁に諸侯や司教の城郭が点在する、といった具合なわけです。以前はベルリンの大学におりましたもので、そういう大都市とは別に、こういう中世以来の地方都市に滞在してみたかったというのも事実であり、こちらに来てみた理由の一つでもあります。私の現状について言えば、市場の近傍に住んでおり、都市中に点在する大学の建物(一箇所にキャンパスが集まらないのもドイツの大学の特徴)にもアクセスしやすいという状況で、いろいろな面で幸運な環境にいることを実感しております。この規模の都市ですと、中心部を起点にすれば殆ど徒歩三十分で行けてしまうというのが非常に便利です。来て早々に市内有効の定期券を買ったのですが、路面電車にすら乗ることが殆どないので無駄にしてしまったようです。
 私の一箇月目の所感はこんなところでしょうか。また何かあったら書きます。どうもブログ記事っぽくなってしまいましたが、その方も近日中に更新したいですね。あちらではむしろ、昨年度中の口頭発表や質疑応答についてなど、学術サイトめいたことをやりたいわけですが。
 最後にtwitpicがあったことを思い出しましたので、大学のある場所からとったギービヒェンシュタイン城の写真を載せておきます。
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UTCP公開研究会の報告

 UTCPプログラム「歴史哲学の起源」公開研究会での発表「カタルシスと崇高(森田團氏)」の報告としてブログ記事を書きました。こちらで読めます。UTCPとはいかなる組織かについても上記の公式サイトをご覧下さい。

 記事は論文ではなく報告なので、煩雑を避けるために文献は著者とタイトルしか挙げなかったのですが、蛇足ながらここに言及した書籍の一覧表を記しておきます。発表自体の参考文献ではなく、この報告記事の参考文献です。

 Aristoteles: Poetics, In: Aristotle Poetics, Longinus On the Sublime, Demetrius On the Style, Loeb Classical Library 199, Harvard Univ. Pr., 1995. [『アリストテレース詩学・ホラーティウス詩論』松本仁助、岡道男訳、岩波文庫、1997年]
 Bachofen, Johan Jacob: Das Mutterrecht, In: Gesammelte Werke, Bd. III, Hrsg. von Karl Meuli, Basel, 1948. [J. J. バッハオーフェン『母権論 1~3』岡道男、河上倫逸監訳、みすず書房、1991~1995年]
 Benjamin, Walter: Goethes Wahlverwandschaften, In: Gesammelte Schriften, Bd I-1, Frankfurt am Main, 1974. [ヴァルター・ベンヤミン「ゲーテの『親和力』」(『ベンヤミン・コレクション I』浅井健二郎編訳、ちくま学芸文庫、1995年所収)]
 Benjamin, Walter: Ursprung des deutschen Trauerspiels, In: Gesammelte Schriften, Bd I-1, Frankfurt am Main, 1974. [ヴァルター・ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源 上・下』浅井健二郎訳、ちくま学芸文庫、1999年]
 Bernays, Jacob: Grundzüge der verlorenen Abhandlung des Aristoteles über Wirkung der Tragödie, Hildesheim/New York, 1970.
 Cohen, Hermann: Ästhetik des reinen Gefühls, In: Werke, Bd. 8-9, Hrsg. von Helmut Holzhey, Hildesheim/New York, 1982. [ヘルマン・コーヘン『純粹感情の美學』村上寛逸訳、第一書房、1939年]
 Goethe, Johann Wolfgang von: Nachlass zu Aristoteles' >>Poetik<<, In: Werke [Hamburger Ausgabe in 14 Bänden], Bd. 12, München, 1988.
 Lacan, Jacques: L'éthique de la psychanalyse, 1959-1960, Le Séminaire Livre 7, texte établi par Jacques-Alain Miller, Seuil, 1986. [ジャック・ラカン『精神分析の倫理 上・下』小出、鈴木、保科、菅原訳、岩波書店、2002年]
 Vischer, Friedrich Theodor von: Über das Erhabene und Komische, Frankfurt am Main. 1967.

ベルナイスやコーエンを出しているのはOlmsという出版社で、ここはヒルデスハイムとニューヨークを拠点にあまり読まれなくなった(笑)重要文献をたくさん再版していることで著名ですね。かのクロイツァーもここから出ていたものが目下の最新編集版のはずです(某ネット古書店で見つけて、買わねばと思いつつずっと放置してあるんですが)。それから、私も調べてみるまでコーエンの邦訳が戦前にあったとは知りませんでした。

 なお、記事にもあります通り次の研究会(9月)では私が発表することになっています。正式な告知は、こちらもUTCP公式サイトのイベント欄の方に、今月後半までに行う予定です。
 

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